恍惚の人

さっきまで日テレでやってました。
僕はあのテレビ局というか会社自体が嫌いなので(爆)普段は見ないんだけど、やはり介護問題には関心があるのでついつい。
歯医者としても、高齢の方々とは随分接しましたし。特に老健施設に入所されている方とか、デイケアなどを受けておられる方とかね。

その目線で見る限り、三國連太郎さんの演技は真に迫っていました。
コミカルな部分もあって両親は笑っていたりもしたんですが、歯科受診のあと一瞬の隙を突いて脱出し徘徊してしまったおじいちゃんとか(以前は警察のお世話になったこともあるらしい)、施設内で口腔ケアをして回っていた時にデイルームの真ん中でおしっこし始めるおじいちゃんに出くわしたりとか、そういう経験があるものですから、僕は全然笑えませんでした。

最後、家族の絆を最優先する形で、おじいちゃんの老健施設入所をやめて、竹下景子さん扮するお嫁さんがおじいちゃんとは最後まで家族で暮らそうと決心するシーンを見て、「それも一つの選択だけれど、老健施設に入ることに対して否定的に見える描写は何とかして欲しかったな」と感じてしまったのは、施設の職員さんたちが懸命に介護しておられる姿を見てきたからでしょうね。

もちろん、入所させたままほとんど連絡が取れない家族さんとかは問題外ですけれど(実在しました。入れ歯を作る許可が得られず非常に困りました)、専門の職員に介護を任せ、あとは家族の皆さんは懸命にご自身のご職業に励まれて、休みが取れたら出来るだけ面会にお見えになるという、経済的且つ心の上での「介護」もありだと、僕は思っています。