メビウス第44話「エースの願い」

メビウスの楽しさの秘密って、過去のシリーズの「全肯定」にあると思うんですよ。
特に、一時期、1期ウルトラ(Q、マン、セブン)ファンに不当に(と思う)低く評価されていた2期ウルトラに関しても。

2期・3期ウルトラには、確かに批判されても仕方ないかと思われる事情もあるんです。「タロウ」を除いて、シリーズ途中で複数回の路線変更が行われており*1、シリーズとして一貫していない。

特に今回のゲスト主役である「エース」では、「ヤプール設定の消失」(の割に、最終回を含め困ったときには復活させる)、「男女合体変身設定の消失」という致命的な変更が二つもあったのです。
これは番組発足当初には予定されておらず、視聴率などの問題でやむなく行われたものだから、どうしても「敗北感」を感じさせてしまうんです。


ところが。

今回のドラマ、見ました?
夕子が番組を降板したことを肯定して、それをクライマックスに持って来る前向きさ!
「80」先生が登場したときの方が感動は大きかったけど、あれは「仕方なく教師をやめざるを得なかった」という設定でしたよね。
今回はそれ以上の肯定振りですよ。
だからこそ、最後、月での34年ぶりの「ウルトラタッチ」が、あんなに感動的なんです。
(あの瞬間に「変身音」がしたのには何か意図があるのかな?)

それと、初期から何度も出てくる「ウルトラ5つの誓い」もそうですが、2期シリーズの名台詞、それも「最終回に、何の伏線も無く、突然語られた、とってつけ感を感じさせる」台詞でさえ、肯定してドラマに結び付けているんですよ。

ヒルカワというメビウス屈指の悪役に、あれだけ裏切られても、最後は笑顔でドラマが終結したのは、エース兄さんのあの言葉のおかげなんです。

「優しさを失わないでくれ。弱いものをいたわり、互いに助け合い、どこの国の人とも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。
例え、その気持ちが何百回裏切られようとも」


(「エース」最終回では「これが私の最後の願いだ」となっており、今回は「変わらぬ願いだ」になっていますが)

そう、ヒルカワに「裏切られること」までも肯定的に捕らえようとする。
決して甘いだけではない。実際にミライは辛い思いをしているわけだし。
しかし、それを乗り越えて前を見ようとするポジティブさ。

それが、僕らが好きだったウルトラシリーズだよね。


メビウス」自体も、恐らく意識的に何回か路線変更を行っており、これも2期ウルトラへのオマージュではないかと思っているのです。



今回、唯一残念だったことは。
オープニングのキャストロールに「声の出演:納谷悟朗」のクレジットが無かったことねwww

*1:だからこの論点で「タロウ」を批判するのは誤りなのです。