メビウスがもたらしたもの

熊本でも、今朝(早朝)、とうとう最終回が放送された「ウルトラマンメビウス」。
10年前の「ウルトラマンティガ」以来、久しぶりに本気で好きになったウルトラシリーズになりました。

シリーズ全体を通してみると、設定としては「ウルトラマン80」放送終了から25年間怪獣もウルトラマンも現れていないことになっているんですが、「こっちの世界」では様々なウルトラマンがテレビや映画で活躍していたわけで、メビウスには様々な形でその影響が出ています。

まずデザイン。「ティガ」以前はウルトラマンは基本「赤と銀のツートン」だったのが、ティガ・ダイナからコスモスに至るまで青系統の色が混ざった3トーンが主流となっていました。
一つのエポックとなったのが「ウルトラマンノア」と「Nプロジェクト」といわれる一連のウルトラマン、「ザ・ネクスト」「ネクサス」です。
ウェットスーツやレオタード生地のつるんとした体表に文様が描かれていたそれまでのウルトラマンと違い、まるでロボットのような凹凸と複雑な文様、メタリックシルバーに輝くノアの姿は、まるで百式のオマージュのようでした。(背中もそっくり)

続くマックスはもろにセブンタイプでしたが、胸の辺りにNプロジェクトウルトラマンの「複雑化」の断片が見て取れ、ゲスト出演のウルトラマンゼノンには「凹凸」が見られました。

そしてメビウス
赤と銀のツートンという先祖がえりした基本色を持ちながら、ところどころに金色が混じる(実はセブンもタロウも僅かながら金色を使ってはいるんですが)、カラータイマーが体内に埋没していて、胸板が逆に、板でも貼り付けたように立体的に盛り上がっている、という新機軸が現れ、これはとりもなおさず「ティガ」から「Nプロジェクト」「マックス」に至る平成シリーズの影響であるといえます。
もっと複雑なデザインとなったウルトラマンヒカリゾフィーの2ショットを見るにつけ、あまりの複雑化は逆に「個性の埋没」に繋がることが実感でき、僕はこの方向性はあまり好きではありません。ガンダムシリーズにも同じことが言えるのですが。

また怪獣デザインにしても、メビウスオリジナル怪獣の代表格であるケルビム、ディノゾールなど表面がごてごてした怪獣には個性が薄く、逆にグドン、サドラ、メフィラスのような過去の偉人が作り出した復活怪獣の美しさが際立ちました。ケルビムとアーストロンの2ショットが象徴的で、どっちがかっこいいかと問われたらやはり、正統派のアーストロンじゃないかなと思うわけです。

このような美術面に関しては、一考の余地があったのではないかと感じています。


特撮技術の進歩は目覚しく、そういう「目」で楽しませる部分は文句なし。
とはいえ、それはネクサスでもマックスでもほぼ同じくらいの技術水準は見られたわけですから……


ではなぜ、僕がこれほどに「メビウス」が好きになったのか、つらつら考えて見ますと。

ストーリーのよさというのもあるでしょう。過去のシリーズを丸ごと背負って、正統なる続編として、しかも1975年放送の「ウルトラマンレオ」でレオ兄弟がそれと認められて以来、およそ32年ぶりに「ウルトラ兄弟」を増やしてみたり、ラストボスを長い間「謎」の存在だったエンペラ星人を持ってきたり、とにかく大変な挑戦をしてくれました。

21世紀の子供たちもどうやら無事楽しんでくれたようで、おもちゃの売り上げもなかなか伸びているそうです。

(少なくとも、いまだに売れ残って食玩が二束三文で売られているマックスとは違うっぽいがどうなんだろう実際は・笑 というかマックス食玩は大丈夫なのか賞味期限)

何よりも、僕たち1970年代世代にとって、「第2期ウルトラ」を本家に肯定してもらえたことが一番嬉しかったように思えます。
ファンの間で、まだ僕らが幼かったころ、初期ウルトラのファンは「帰ってきたウルトラマン」以降を認めない風潮が盛んだったそうです。
平成に至って、(最初は「ウルトラシリーズそのもの」を復帰させる手立てだったから仕方なかったとはいえ)「帰りマン」以降の設定を全部無視した「平成セブン」なるシリーズが長期シリーズとなり、また「ティガ」は過去のシリーズと一線を画して「非M78星雲系ウルトラマン」路線を確立してしまい、それが大成功したために、より一層「第2期ウルトラ」は肩身が狭くなった気がしてました。
(こういう路線を否定しているわけではありません。特にティガはガンダムにおける「Gガンダム」同様、素晴らしい大英断を下したと思っています)

マックスという大失敗の後で「ウルトラ兄弟」を復活させようという企画意図に当初激しく反発していた僕でしたが(このブログでも一年前はメビウス否定論を書いていました)、最終回を見終わってみると、例えば1972年以来のウルトラタッチに感激したり、1975年以来のレオキックに燃えたり、1980年から持ち越された卒業式に涙したりしていたんです。

ただの懐古主義だとは思いたくないんです。ただ、

「僕たちは、あの時と同じく、ウルトラの星を夢見て、ウルトラ兄弟を好きでいていいんだ」

という確信が得られたことが、僕にとって一番の収穫だったように思います。

改めて僕もミライ君に「心からの言葉」を述べたいと思います。

「君に出会えて本当に良かった。ありがとうございました!」


最後の重箱の隅。
ファイナルメテオール・スペシウムリダブライザーの飛行音は東宝映画「空の大怪獣ラドン」の飛行音でしたし(雲の向こうから飛行音がする、というシーンは「三大怪獣地球最大の決戦」の横浜のシーン、ゴジラの頭上にラドンが飛来してくるシーンにそっくり)、展開後(続に「ラビアンローズ」と呼ばれてるっぽい!?)の音は同じく東宝映画「地球防衛軍」のミステリアン宇宙船飛行音以来、ウルトラシリーズでも頻繁に使われた効果音でした。
第1話の「ゴジラの声を発しながら倒れる電柱」以来、この手の小ネタは最後までやりつくしましたね(笑)
てかユリアン姐さん出せよ!(泣)