仮面ライダーTHE NEXT

見てきました。
土曜日のレイトショー。
感想が今頃になってるのは、帰宅が「午前様」になった上に翌日一日中ウルトラマンランドに入り浸ってたからです(笑)

ではネタばれ防止をしときますけど、総じて「面白かった」と言うことは書いておきます。
次回作は是非「ライダーマン」で!


前作「FIRST」も楽しめたんですが、今回の田崎監督作品の方が素直に楽しめましたね。
前作の方がちょっと重かったような。

前作とのつながりと言う点で、一文字が未だにリジェクションに苦しんでいるというのもありましたが(本来の設定だともう死んでるんじゃね?・笑)、逆に繋がってないということで気になったのが緑川あすかの存在。
本郷と一文字が命を賭けた大恋愛がまるっきりカット(笑)
でも、実際ストーリーに全く不必要ではあったので、出ないなら出ないでよかったんですけど、整合性のためにも一言くらい言及が欲しかったかな。

キャラクターで言えば、まず本郷の「敬語」キャラが面白い。あれ前作こんなだったか?(笑)
石田未来ちゃんが(表向きは)がらっぱちな役を好演していたので、好対照になっていたと思います。
生真面目なキャラクターが一文字とも好対照。
でありながら、ナノロボット運搬トラックが画面外に消えた瞬間に爆発と共に現れるなどという、ヒロイックな演出もしてもらっていて、最後の素顔でのライダーキック(ライダーダブルキック)も含めて主人公の面目は保っていましたね。

その一文字がリジェクションで苦しみながらも豪遊している。
「死ねないってのも辛いもんだな」の台詞がchiharuに繋がるんじゃないかという予想は、パンフレットで読む限りは正解でした(^^)
死の恐怖に戦きながらも、ショッカーとの戦い、特に本郷の危機には必ず駆けつける。
死にたいから、と言う理由もあるんでしょうが、ラスト近くV3に吐いた台詞から見ると、自身の生き死によりもショッカーと戦いこと自体を優先しているように思えますね。
「お前はもう、空っぽじゃない」
完全に脇役になったことでキャラが立ったと言うのが一文字ですね。

そして一番心配だった風見。
どう頑張っても元祖風見志郎が「宮内洋」である限り、あれを越えることが不可能なので(宮内洋自身が既にキャラクターである)、全く別なキャラクターに持っていくしかない。
そんな制約の中で、「社長」「セレブ」「ピアス」「力に魅せられる」などという明確なキャラクター付けが出来てるのはよかったと思います。クールでありながら妹を思う気持ちの強さとかね。
元祖の「父よ母よ妹よ」(主題歌)の悲しみは、妹chiharuへの思いに集中させる形で残っているんですね。

ちょっと本郷との和解があっさりしすぎかなとも思いましたが。
本郷以降のライダーが全て「本郷を倒す」ために現れ、何らかの理由でショッカーを裏切ると言う同じ設定になってるのが残念ではありますが、緑川あすかという本郷と共通の理由を持った一文字と違い、風見は妹のためにショッカーを裏切り、結果として本郷たちに合流するというのは差別化は出来てました。

ただこうなると次回、ライダーマンを作るのが大変かなと(今から心配するなw)

改造人間の方では、シザースジャガー(原型はハサミジャガー)がよく出来てた!
チェーンソーリザードもいいんですが、「ナノロボット」という設定によってデストロンの機械合成怪人を上手に表現していたと思います。

逆にショッカーライダーは「出しただけ」って感じで残念だったなぁ。
ちょっと腕に覚えのある戦闘員と言う感じに過ぎなくてね。

キャラとしてはやはり特筆すべきはchiharu(偽物、怪人を含む)を熱演した森絵梨佳ちゃん。
自分の演じている役の偽物とか、やりにくかったと思うんですけどね。
複雑なキャラでありながら、トップアイドルとしての絶品の可愛さもちゃんと演じてくれていました。
だからこそ、顔が崩れて自殺するシーン、怪人となってしまったシーンの悲しさが胸に迫りました。

もう一人のヒロイン、石田未来ちゃんもよかったです。
この二人、最初から(未来ちゃん演じる)琴美の台詞で「親友」と語られているだけで、背景のエピソードが全く描かれていないのが残念ですけど、そういう「背景の希薄さ」の中で、ラストの「包帯女」とのシーンは絶品でした。
厳しい顔、寂しい顔などの「ネガティブ」表情が多かった中で、ラストシーンの「先生!」が際立ちました。


アクションとしては、極力「肉体」で表現したという姿勢がまず素晴らしい。
勿論、人間には無理なシーン(サイクロンでトラックに突っ込むとか、サイクロンにまたがったままのライダーキックでワゴンを蹴り倒したりとか)は特撮(そう!カットを割るだけだって特撮と言えるんです)を駆使してましたけど。
スローモーションが多かったけれど、もうちょっと「通常スピード」でスピード感たっぷりに見せてくれてもよかったかもしれない。
チェーンソーリザードにショッカーライダーが足を切り落とされるシーンとかも一度通常スピードで見せておいてスローにしてもよかったように思います。
ワイヤーを利用したアクションの白眉が「V3反転キック」でしょうね。
そんな中で、ラストの炎に包まれたシーンはCG全開で、それはそれで効果的でした。
使いどころが大事、ということを見せてくれた点で、円谷を買収した「ちょ」のCG礼賛に対するアンチテーゼになりうる映像じゃないかと思います。

苦言を呈するならば、ナイトシーン・レストランでの最終決戦シーン、ともに映像が暗いため、ライダー1号2号、ショッカーライダー、V3が造形が似ているために見分けがつきにくくなってしまっていました。
何故、初代ライダーが暗い体色から明るいカラーに変化していったのか。
その「進化」を「番組の路線変更による仕方ないもの」というネガティブな受け取り方をするから、こうなるんです。
変化があるからには何か「必然」があったはずで、体色に関しては初代「仮面ライダー」の第2話のナイトシーンが暗すぎたことが一つの大きな理由だった、それを理解してポジティブに受け入れなくてはいけないと思います。
(路線変更をポジティブに受け入れるという立場は、漫画「仮面ライダーSPIRITS」や「ウルトラマンメビウス」がいい例です)


ストーリーは、何よりも導入に当たる殺人事件が実は「ショッカーの陰謀とは関係なかった」と言うのが一番のショックですね。
ショッカー以上に嶋田久作が怖いと言うことです(笑)
一応、chiharuに感染していたナノロボットが元凶ではあるんですが、あくまでも副次的なファクターでしかなかったし。
そしてラストの炎につつかれたchiharuに至るわけで、「殺して」という彼女の台詞は「ライダーSPIRITS」でバダンに改造された戦闘員を思い起こさせ、悲しいシーンでした。
DNAを思わせる二重螺旋の触手がCGで作られていましたが、特に「包帯女」の方では不要だったかなと思います。
琴美に伸ばした触手が「とまどう」辺りは、CG担当がよく頑張ったと思うんですが、あれが本当に「手」だった方が、感情表現としてはリアルだったと思うんですよ。

キャストロールが終わった後のあのおまけシーンは不要だったなと思います。
あれ、スポンサーのためのサービスカットにしかすぎないよね?


ということで、この程度でPG-12になる日本って結構厳しいのねと思いつつも
総じて楽しめました。
次回作はやはりライダーマンで!