ウルトラマンメビウス感想2本(37〜38話)

溜まったなぁ(汗)
では去年の分から一気に。

第37話「父の背中」

3つばかり、注目すべき点があります。
一つは「ウルトラの父降臨祭」というアイデアが面白い。いくら「ウルトラマンA」時代にサンタクロース姿で現れたからといって、ウルトラの父をクリスマス同様の習慣で祭っちゃうというのが(笑)
でもこの風習を聞いたミライがどれだけ嬉しかったことか。
チラシに描いてあるウルトラの父のデザインが間違ってるのはご愛敬!?

二つ目は、何と言ってもお父様のアクションですね。
帰ってきたウルトラマン」でトランポリンアクションが取り入れられて以来、ウルトラマンは飛び技を多く使ってきましたが、今回のお父様のアクションはヒッポリト星人戦を思わせるような、重厚なアクションになっていました。
マントを脱ぐと妙に肩幅が無いのが残念でしたが(笑)
ティガ〜ガイアの「マッチョ」ウルトラマンの中の人・中村浩二さんとか招聘すればもっと良かったんでしょうが、この撮影の頃はもしかしたら、NHKで山内家に仕えてたかもしれないからな、あの人。
おまけなんだけど、お父様がおいでになったとき、テッペイたちは大はしゃぎしてるんだけど、サコミズ隊長だけがちょっとビビッたような顔をしてるのが芸コマ。
まぁ、彼はきっとあれだから(一応、謎)

三つ目は、ゲスト主役であるコウキ役を演じた子役・小林翼くんの演技のよさ。ドラマ部分に関してはもう彼に尽きますね。
「がいずのおしごと、がんばって!」
くぅ〜!健気でいい子ではないか。言葉ははっきりしているし、表情が泣き顔も笑顔も絶品。前歯が2本生え変わり中なのもポイント高い(笑)<ここから推定される年齢は6〜7歳



そして。
それだけなのよ、このお話。

台詞は洗練されてないし、ジャシュライン(邪Shrine=邪悪なる神社って名前は笑わすけど。因みに寺院だとTempleとなります。読みは当然、ティマプルリです)が中途半端なギャグキャラになっていて、見ていてウザイし。
ストリートファイト連戦連勝で、相手の死体を集める不気味な存在でありながら、コマーシャル明けに延々とおかしな踊りを踊る不思議キャラ(このシーンは無駄に長かったと思います。お父様のウルトラアレイにやられた後の悶絶のシーンも長すぎ、悲鳴を延々と聞かされて悲痛な気持ちになってしまいました)。
どうせギャグキャラにするなら、存在価値そのものがギャグであるモチロンくらいまで吹っ切れてくれれば、お父様も餅をついて帰ってくれるんですが、この演出ではお父様はかっこよく決めていいのかお茶らけていいのか、さぞ悩まれたことでしょう。
ジャシュラインがふざけた後でかっこつけて帰るのはどうにも間が抜けて感じられてしまいます。決して、お父様は悪くないのに。

台詞で言えば、ほとんどが「語りすぎ」。
そして最も言ってはいけない言葉が、メビウスが金に変えられた直後のコノミちゃんの言葉。

テッペイ「ミライ君が、金に変えられてしまった」
コノミ「そんなこと、出来るんですか!?」
キャラクターを殺してしまう、典型的なダメ台詞ですね。つまりこの場面、コノミちゃんはメビウス=ミライを心配するのではなく……仲間であるミライの安否を案じることなく、ジャシュラインの能力について語ってしまったんです。

他にも、コウキくんやお父さんが、ウルトラの父について「必ず来る」と根拠も無く断言してしまったため、その後「奇跡的に」現れたウルトラの父降臨のインパクトが完全に薄れてしまいました。これもやってはいけない演出だったと思います。

演出面では他にも、やってはいけないものが複数ありました。
GUYSを完全に雑魚扱いしたこととか。
お父様がメビウスに、最後「カラータイマーが割れなかったのは、屈しなかった証拠だ」と語った、それならば、メビウスを助ける際にいきなりエネルギーを与えて蘇生させるのではなく、金に変えられた体をウルトラシャワーで洗い流した後、自力での復活を待ってお父様が時間稼ぎの格闘をした方が説得力があったはず。
帰りのシーンもおかしくて、光になって飛んでいくのではなく、悠然と「人型の姿のままで」シュワッチ!と飛行し、途中で光に姿を変えたほうがかっこいいんですよ絶対。
また今回、初めてGUYSの面々との友情に関係なくバーニングブレイブの姿になりましたが、これは基本設定を根本から覆すもので、決して許すべからざる演出だったはず。
コウキ君がたった1,2段の階段から転びそうになったのを、「上から抱えて助ける」のではなく、ホンの数センチの隙間に滑り込んで助けるお父さんという不自然なシーンまで全部含めて、シリーズ構成をされている赤星さんが書いたとは思えない、困ったちゃんな作品になってしまいました。残念です。

第37話「オーシャンの勇魚」

これはまた打って変わって面白い話になっていました。
監督は前話と同じくアベユーイチさんなんですが、同じ監督がほぼ同じ時期に撮った作品でこれだけ感じが違うというのは、やはり脚本の太田愛さんの力によるものが大きいのでしょう。
思えば太田・アベコンビは、この夏「時の海鳴り」という傑作も生んでますものね。

冒頭の、CGを効果的に使ったアリゲラvsメビウス&GUYSのシーンは映像的に面白かった。それでもアリゲラとメビウスがぶつかるシーンは一瞬、CGではなく実物による映像に移り変わっていて、速さや人間では出来ない動きに関してはCGに一歩譲る実写も、こと「迫力」という面においては逆にCGの及ぶところではないことを証明してくれました。
逆にクライマックスの格闘は、一転して地上戦に終始しており、やはりCGよりも実写で主な部分は行きたいということなのでしょうね。同じ飛ぶにしても、終盤の実際の着ぐるみを飛ばした方が実在感があって迫力あるし。
しかし飛んでくるのを待ち構えて真っ二つに斬るというのはまたかっこいいこと考えましたね。

勇魚とGUYSメンバー、アライソ整備長のドラマも深くて。
勇魚との関係をコノミちゃんがアライソさんに聞きにいく場面、

「ごめんなさい、二人が話しているところ……」

ここまででコノミちゃんは沈黙してしまうんですね。
前作の「語りすぎ」バージョンでいくと、

「ごめんなさい、私、勇魚さんとアライソさんが話しているのを立ち聞きしてしまいました」

と喋らせてしまうところ。前者の方がどれだけ味がある台詞になっていることか。

勇魚のキャラクターの面白さ、人間のドラマにアリゲラという異常に速い怪獣を倒すための作戦進行、怪獣要撃戦の面白さを掛け合わせた、どの方向から見ても楽しめる作品になっていました。
太田愛さんは、いつ見てもさすがです。